【自虐的な君に】5のお題

どれだけ心配してたと思ってる?

 ぐるぐると手に巻かれた包帯をじっと見つめて、はため息を付いた。包帯の巻き方がまるでなっていないだとか、下手くそだとか文句の付け所はいくらでもあるのだが、それ以上に目の前で睨みつけている姿をどうにかせねばと思考を巡らせる。
 。厳しい物言いに思わず姿勢が正される。

「俺が何言いたいか分かる?」

 視線だけで物を訴えるパーチェに思わず彼女は視線を逸した。こういう時、パーチェはさすが年上というべきか、それとも流石幹部長代理というべきか、言い様のない威圧感がある。普段の姿からは想像のできないその視線はにとっては苦手なことこの上ない。
 普段食事のことばかり考えているようで、そうでもない。

「……あのねえ、

 いつまでも無言に徹していたに視線を合わせるようにパーチェはしゃがみ、の頭をわしわしとかき回した。痛いんだけどと睨みつければ、俺もそんぐらい痛かったよとくしゃくしゃになった髪から手を離して彼女の手を取る。無骨にぐるぐると巻かれた包帯は今にも解け落ちそうなほど不格好で、パーチェがあまり手当が得意ではないことがよくわかる。
 パーチェは彼女の片手を両手でつかみ、すがるように祈るように顔を俯かせた。

「−−もう、こんな無茶は絶対、ぜーったい、しちゃ駄目だからね」
「パーチェ」
「心配すんごいしたんだよ、は知らないだろうけどさ」

 だからこんなことしないように、まるで教師のような言い方には思わず吹き出した。笑うシーンではないのだが、どうにもパーチェの言い方が可笑しくて同時に心配を掛けたことへの申し訳なさとうれしさが混ざり合い−−笑ってしまった。
 ごめんごめんと両手を上げ降参のポーズを取った後にパーチェの肩をぽん、と叩くとパーチェは満足気に「わかればよろしい」と、と同じように笑った。

2011.11.16. up.