ごはんをたべよう


人の性格というものは様々なものに影響されるという。
例えば、生活環境。
例えば、家族。

この世界は一見すればばかみたいに広いのだが、実際のところは身の回りのことだけで精一杯で関わっている人たちなんてものは少ない。
テレビの向こう側にいる人間たちを頬杖をついて見ながら、そんなことををぼんやりイメージする。
テレビの向こうにいるアイドルグループたちは華やかに笑い、楽しみ、バラエティ番組をどんどんと盛り上げていく。そういえばセンターにいる男の子を友人は押していたな……と考えていると後ろから手がにゅ、と伸びて彼女の眼の前に置かれていた煎餅を奪われた。

「なーにしてんだよ、運気なさそうな顔して」
「ん、まぁ、ちょっと」

色々と考えてただけだよと、視線を受け流しながらはチャンネルをリモコン操作で切り替える。
直前に友人の好みである青年が楽しそうに目を細めているのが印象的だったが……結局のところ、その「アイドル」と自分とでは何の縁もゆかりもない。あっても困るのだろうけれど。
昏々と考えていると後ろから楽しそうに彼女の煎餅を奪い取った煎餅をばりばりと開いて食べている男は楽しそうに笑った。

「くっだらねーことばっか考えてるのな、お前」
「くだらないかなあ」
「下らないな、もっとガキは色々周りを見ねーで突っ走ってろよ」

可愛げもねえし。
カカカと笑ったランサーにこれ以上会話をさせないように煎餅を一つ彼の口に突っ込もうとするが、それもあっさりと交わされる。

「おい、ラーメンでも食いに行くぞ」
「おごり?」
「バァカ、自腹に決まってんだろ」

ラーメン屋にいくかと立ち上がったランサーには呆れるようにため息を付いたが、直ぐに手元にあったカーディガンを羽織った。
……もうこうなったらやけ食いをすることにしよう。
ゆらり、アロハシャツの男とカーディガンの女と全くを持って季節感を感じさせない2人の姿が街並みに溶けていく。


2012.08.04
*比呂様「落ち込む夢主と励ますランサー」