ad alta voce
「やるのかこらぁ!」
「これだから頭のない馬鹿は困るんだ!」
ぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる彼らに、は何度目かわからない溜息をついた。
よくもまぁ毎日毎日飽きないもので、ダンテやマンマがいてもいなくても変わらない、やってることはキャットファイトと大して変わらないものだから、可愛らしいものなのだが彼女がそう口にすると揃いもそろって、これまた全く猫のように反発してくる。
「二人共ー、そこら辺にしとかないと私も怒るよー」
エスプレッソを口にしながら言う言葉ではないだろう。
漏れ無く隣に居たデビトがケタケタと笑っていたので、革靴でこつん、と爪先を蹴って黙殺すると、更に彼と同じく珍しく円卓に座っていたパーパもまた、楽しげに笑っている。
……何故そもそもこんな展開になっているのかには理解しがたかった。
諜報部の仕事をある程度終えて昼食がてら金貨のカジノの様子でも見に行こうとしたの見た光景は良くわからない休息時間を満喫している幹部たちの姿だ。
パーチェは相変わらず出されたケーキやタルトを食べ散らかし、デビトはコーヒーを静かに飲んでいる。幼馴染達との時間は別段も悪い気はしないが、問題点はそこに「このアルカナ・ファミリアにおいてのドン」がいることが問題なのである。
「なんだ、は相変わらずカタブツだな」
「パーパ……此処にいて良いの?」
「ハッハッハ、たまには休息も必要だろう!どれ、座ってコーヒーでも付き合え」
会話が通じていない。
この状況下とトップの命令とあればとは席に座り、そうして今、ルカが嬉々としながらショコラータを作ってくるというものだから、おとなしく帰りを待つ横でエスプレッソに砂糖をいれてスプーンで回し、会話を楽しんでいるというわけだ。
……無論、子供たち二人の喧嘩を横目にしながら。
「……パーパ、止めないの?」
「子供は元気なぐらいがいいからな!」
リベルタもノヴァも子供らしいといえば子供らしい一面を持っている。片や幹部であり、もう片方は実質上パーパの一人娘のフェリチータとは幼馴染に近い形をとっている。まだまだ半人前ではあるがやダンテの仕事を請負、諜報部の中でも力を発揮する日も近いだろうリベルタの普段の人懐っこさは影に隠れている。
……今の喧嘩をしている姿は、唯の子供、ガキ以外の何物でもなかった。
「オーゥ遂に鬼のの出番ってトコカー?」
「ちょっと、何勝手に化物扱いしてんの」
「ルカちゃーん!リモーネパイまだ焼きあがらないのー!」
まるで空気を読まないパーチェの声が庭に響き渡る。
思わずは頭を抱えて「ダンテはやく来て……」と呟くが、残念なことに幹部であるダンテは今此処に居ない。代わりにじゃあジョーリィでもと提案したが、ダンテに盛大に反発されては仕方なしと諦めるしか無いのだ。
彼女の気持ちとは裏腹に、驚くくらいにいい天気だ。風も穏やかで、まさにレガーロ晴れといったところだろう。
「リベルタ」
「なんだよ!」
「ノヴァ」
「なんだ、!」
まるで邪魔者扱いのような彼ら二人の発言に、何かがぶち、と切れる音をデビトは耳にした。あくまでも、穏やかに。とりあえず手元にあるカップと皿を非難させ、マフィンを食べているとのフォークが一瞬で姿を消す。
どこにいったかと思えば……彼ら二人の真ん中を通り過ぎ、直ぐ近くの地面に突き刺さっていた。びよんびよんと揺れるさまは其れが見事に凶器になることを示しているようにも見える。
「……座りなさい?」
「……」
「座りなさい」
投げナイフの専門はルカやフェリチータである。力任せに殴るのはパーチェの専門である。
……がしかし。
彼女の有無を言わせぬオーラにリベルタとノヴァはコレ以上喧嘩をするのを得策でないことを察し、おとなしくルカの作ったアップルパイをつつきながら次のリモーネパイをまつことにした。
また、この時満足気に笑っていたにフォークを武器にするんじゃないとルカの叱咤が入るのは直ぐ後のことである。
今日もレガーロ島は、至って平和なようだ。
*notta様リク「リベルタとノヴァで二人の喧嘩をヒロインが仲裁する話」
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