リュートを奏でるは、愛した指先



「なんです、。リュートなんて持ちだしてきて」
「ちょっと子供たちに教えなきゃいけなくて」

リュートを奏でていたはルカが来たことにより、指を抑えていた手を離した。
フェリチータとのティータイムを勤しんでいたのかお盆には空っぽの皿が置かれている。
フェリチータとの銅像の前のベンチに座る彼女の隣にルカは座り、の練習している手へ目線を投げかけた。どうやら音楽を聞いて行く気満々らしい。
彼を行くことを促すが、ルカはにこにこと笑うもので、は諦めてため息をついた。

いくつか爪弾いていくとルカは目を閉ざし、彼女の音に耳を澄ませた。
の音は明るい。子供たちでも知っているような明るい曲を選んでいることもあるのだろうが、自然と気持ちが高揚する。
片足でリズムを取ると、彼女は片目を瞑ってにやりと笑う。リュートの音はどこまでも伸びる。
木漏れ日が穏やかに差し込むたびに瞬きを何度かすると、足音が一つ、二つ、増えてきた。

「ああ、なんだよ、誰かと思ったらお前カヨ」
「あーホントだ、にルカちゃんじゃんー!」

二人の声に自然とルカとが顔を上げた。
揃って両手に持っているのはマドレーヌだろうか。がリュートから手を離すとデビトがマドレーヌをひとつ彼女の口に放り込んだ。

「甘っ」
「もらったんだけどさー、たちにもって」
「ルカ、紅茶」

三人の視線が一気にルカに注がれる。
……ルカが走りだすまで後10秒。



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発売まで後2日